こういったからだの大きな筋肉の運動−総合運動(general movement)と同様に、目や指、唇を動かす小さな筋肉の弁別運動(discriminative movement)にもまったく同じことが言えます。
特に、その中で目は重要です。
読んだり、書いたり、計算したりのすべてが、文字、数字、記号などを見極めることから始まるように、学校で子どもたちが関わる作業のほとんどが目の働きに依存しています。
つまり目は学びが発生する第一の道具であると言っても過言ではないのです。
視力はほとんどの場合生まれてから何もしないでも身につきます。
しかしふたつの目を柔軟に使って空間を把握し、モノのかたち、色、大きさなどを正しく認識する。そしてそういった情報を多角的に分析するための「見る力」すなわちビジョンは、たくさんの「意味ある体験」を元に、しかも「からだの認識力」と連動しながら発育の中で身につけていくものです。
視力が良くても、必ずしも適切な「見る力」が身についているとは言えないのです。